コラム

NBCラジオ「2022年長崎経済の見通し」(2022.1.4放送分)

2022年01月06日

まず、2021年の長崎県経済を振り返ると、新型コロナウイルス感染の影響が11月以降やわらぎ、個人消費が緩やかに回復してきて、2021年度の経済成長率は、全国的に3%前後となる見込みです。最近では、修学旅行生や個人観光客の姿が長崎の街のあちこちで見られるようになりました。ただ、オミクロン株が欧州・アメリカで感染が広がるなど、今後も新しい変異種が現れる可能性があり、「ウイズコロナ」の状態が続くことが予想されます。一昨年12月のこのコーナーで、予測した通りになりましたが、年末近くになって辛うじて景気がよくなって来たということができます。

2022年の日本と長崎の景気は、新しい変異種が猛威を振るい、重症者が続出するという状態にならなければ、景気は緩やかに回復すると思います。日本全体で3.2%程度の成長で、収入の伸びを背景として個人消費が伸びる他、企業の生産拡大を背景として、設備投資も拡大するとみています。ただ、現在、石油製品、食料品などの値上げが相次ぎ、インフレ傾向が明確になっており、実質所得が伸びくなるリスクはあります。

.現在、長崎県経済は、日本全体と同様、個人消費と公共投資を主因として、緩やかに回復してきています。個人消費については、コンビニや百貨店・スーパーの売り上げがマイナスからプラスに転換しています。生産面では、造船が緩やかに持ち直してきているほか、半導体のボトムからの回復を背景として、電子部品・デバイスの生産が増加しています。

長崎県での生活や仕事の面で変化する可能性があるのは、次の3点です。

第一に、今年秋に長崎新幹線が開業し、長崎県・佐賀県の観光客が少しずつ増加してくると思います。長崎や佐世保への観光客が増加し、長崎MICE(出島メッセ)の存在もあり、客単価も上がってくると予測します。観光業界にとっても、生産性を上げ、稼げるチャンスが到来すると思います。

第二に、政府の賃金上昇への企業支援策もあり、大企業中心に賃金・給与が少しづつ上がってきて、これに伴い、住宅投資や個人消費が増えることが考えられます。一方、世界的に景気がよくなってくれば、物価が上昇し、食品やプラスチックなどの価格上昇をもたらすかも知れません。

第三に、「ウイズコロナ」がまだ続くうちに、人々が、この状態に慣れてきて、オンラインで買い物をしたり、オンラインで医療サービスを受けたり、インターネットで代金決済や資金移動する便利さをさらに感じるようになると思います。いずれは、AIを使った無人店舗や、仮想現実の中で買い物やゲームや映画を楽しむという社会的な変革が進み、前回私がお話ししたような「メタバース」に違和感を感じずに日常生活をするようになる可能性があります。農業・水産業・医療福祉など多くの業種で、AIやICTが活用され、これまで人間が手でやっていた様々な労働を、機械が代わってやるようになる、今年はそのような兆候が見えるかも知れません。

最後に今年の長崎経済を天気予報に例えると、「晴れのち曇り」でしょうね。前半は、昨年からの景気回復が続きますが、後半は、個人消費の伸びが鈍化し景気にやや陰りが見えてくる、そして、2023年は、あまり成長が見られない状態が来ると予想します。この状態を打破するために、秋の新幹線開業やMICE施設を長崎県・佐賀県の企業がどう活かしていただきたいと思います。

  • 【日時】
  • 2022年01月06日

菊森 淳文

理事長

菊森 淳文

きくもり あつふみ